認知症の人は口臭が酷くなりやすい? | 高齢者の口臭

「認知症=病気の名前」とイメージしている方は多いのではないでしょうか。

しかし、実は「認識する」「記憶する」「判断する」といった力が障害を受けて、日常生活に支障を来たす状態を指しています。

一般的に認知症は高齢者が引き起こす症状ですが、近年では働き盛りの年代の若年性認知症も問題視されるようになりました。

ここでは認知症患者の口臭がひどくなる原因と対処法についてお伝えしています。

認知症の代表的な症状4つ

  • 脳の神経細胞が減少して脳全体が委縮する「アルツハイマー病」
  • 脳梗塞や脳出血などの血管障害で引き起こされる「血管性認知症」
  • 脳の大脳皮質や脳幹にタンパク質が集まって神経細胞が壊れる「レビー小体病」
  • 前頭葉と側頭葉が委縮して認知症の症状が出る「前頭側頭型認知症」

誰にでもかかる可能性のある病気ですが、早めに医師に相談して適切な対処をすることで快適な生活を長く続けることができます。

認知症患者の口臭の原因は歯周病

一見何の関係性もないように感じますが、認知症と口臭は無関係ではありません。

確かに、認知症の代表的な症状は加齢による物忘れや深夜の徘徊で、口臭と直接的な関係はありません。

しかし、認知症を患っている方は歯周病を引き起こすケースが多いため、口臭とも少なからず関係性がありますよ。

そもそも、歯周病が一体何なのか簡単に見ていきましょう。

  • 口内の細菌の感染によって生じる炎症性の疾患
  • 日々のブラッシング不足で歯肉が炎症を起こして赤くなったり腫れたりする
  • 症状が悪化すると最終的には抜歯が必要になる

この歯周病は認知症の症状を悪化させる原因の一つで、国立長寿医療研究センターや名古屋市立大学で実施された研究の内容をまとめてみました。

    研究内容まとめ

  1. アルツハイマー病のモデルマウスに歯周病菌を感染させて、学習行動試験で認知機能の評価を行った
  2. 通常のマウスと比較し、歯周病マウスは脳内のアミロイドβタンパク質レベルが1.4倍に増えた
  3. 更に脳内炎症分子のサイトカインの上昇が見られて記憶学習能力の有意な低下が見られた

歯周病を発症すると、歯茎の炎症や腫れによって「膿」「メルチメルカプタン」「硫化水素」が発生します。

これらの物質が口臭の悪化の原因になっているので、歯周病を患っている認知症の人ほど口が臭くなりやすいわけです。

そして、歯周病は認知症の人だけの問題ではありません。
厚生労働省が実施した「平成23年歯科疾患実態調査」によると、35歳以上の日本人の約80%は歯周病であるとデータが出ていました。

歯周病は口臭で他人に不快感を与えるだけではなく、アルツハイマー型認知症の症状進行にも繋がりやすいので、早めに適切な治療を行ってください。

歯周病の治療で認知症と口臭の両方を予防できる!

歯周病ケアのイメージ
歯周病を早めに治療すれば、認知症と口臭の両方を未然に予防できる可能性があります。

歯周病を甘く見ている方はいますが、症状が進行するにつれて歯肉が腫れて骨が溶けて歯が抜け落ちてしまいますので気を付けないといけません。

個人の症状の進行具合によるものの、歯周病の治療は基本的に次の3つです。

基本治療 一番最初に行われる治療で、「歯垢を除去するプラークコントロールを行う」「歯の根の面の滑択化を行う」「グラグラする歯の噛み合わせを調整する」など様々なアプローチをする
外科治療 基本治療で歯周ポケットの深さが改善されなかったりブラッシングで歯垢を除去できなかったりという際は、部分的に失われた骨を再生させる外科手術を行う
ブラッシング 外科治療を受けても歯磨きの方法が間違っていると次第に歯垢が蓄積して歯周病が再発するため、ブラッシングの指導が行われる

「自分は歯をしっかりと磨いているつもり」という方でも、実際はちゃんと磨けていないケースは少なくありません。

歯周病が進行すればするほど口臭は酷くなりますので、一度歯科医院を受診して正しい治療を受けるべきです。

認知症の人が行うべき口腔ケア

認知症の人は、「痛みを上手く伝えることができない」「歯磨きが上手にできない」といった理由で、口腔内の環境は悪化しやすくなっています。

つまり認知症患者の人は、歯周病を発症したり症状が悪化したりするケースが多く、結果的に口臭が酷くなる可能性があるということです。

そこで、以下では認知症の家族がいる人のために、実施すべき口腔ケアを3つ挙げてみました。

  1. 「虫歯がないか」「歯茎に炎症が起こっていないか」「傷ができていないか」といった口内のチェックをこまめに行う
  2. 歯を部分的に磨いてから歯ブラシを水道水ですすぐなど、ブラッシングの方法に気を配る
  3. 1日に2回~3回を目安に、こまめにブラッシングするクセをつける

日々の口腔ケアを念入りに行うだけでも、歯周病の発症を予防したり口臭を和らげたりと様々な効果があります。

認知症の人は自分で上手に口腔ケアができないケースが多いので、「口内にトラブルは起こっていないか?」「正しい方法でブラッシングできているのか?」と家族がしっかりとチェックしてあげてください。